新規事業の営業は「勘」に頼るな!立ち上げの肝と失敗しない進め方
- admin368072
- 9月3日
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更新日:10月14日
更新日:2025/09/01

読了目安:約 2 分
はじめに
「営業に投資したのに、数字が伸びない…」
新規事業の現場で、よく耳にする悩みです。
しかし、その原因は“営業力不足”や“根性”ではありません。
本当に必要なのは、売れる理由と買いやすい導線をつくること。
本記事では、新規事業における営業の立ち上げ方を、短時間で全体像をつかめるよう整理しました。
弊社でも多くの新規事業を支援してきた中で、成果につながっている「型」をご紹介します。
1. よくある失敗パターンと“勘の営業”の限界
新規事業の営業が軌道に乗らず止まってしまう背景には、典型的な落とし穴があります。あなたのチームは当てはまっていませんか?
既存アセットの過信が判断を曇らせる
「今ある名簿や既存技術でなんとかなる」と考えてしまうケースです。しかし、既存事業の勝ち筋はそのままでは転用できません。
買い手が変われば、「何と比べられ、何をリスクと感じるか」が変わります。既存顧客へのアプローチをそのまま新規事業に使うと、話は通じるものの、「結局、何が変わるの?」と見なされ、即座に商談が終了します。
創り手のバイアスから抜け出せない
プロダクトの開発者や創り手側が、製品の説明に終始してしまうことも失敗要因です。
必要なのは、Before(導入前の課題)→After(導入後の変化)の可視化、そして「小さく始められる安心感」です。これらが欠けると、顧客は「良い製品だけど、決め手に欠ける」と判断し、購入時の心理を捉えきれません。
学習ループが不在で費用だけが膨らむ
失注理由が「検討保留」や「予算未達」など、抽象的な言葉で記録されていませんか?
失注理由が同じ粒度で記録されていないと、仮説→検証→改善のサイクルが回りません。その結果、顧客獲得コスト(CAC)は上昇し、回収期間は長期化。「気合いと訪問数」でカバーするやり方はすぐに限界に達します。
2. 新規事業営業の立ち上げ戦略:5つのステップ
新規事業では「誰に」「何を」「どうやって売るか」をゼロから描き直す必要があります。以下の5つのステップが基本です。
誰に売るのか(理想の顧客像の明確化)
理想の顧客像(ICP)を明確にし、業種・規模・課題・導入ハードルなどからA/B/Cに分類します。ターゲットを絞り込むことで、メッセージの刺さりやすさが劇的に向上します。
何で勝てるのか(差別化の言語化)
競合・現状維持・内製との比較で、自社が明確に勝てるポイントを明文化します。特に「なぜ今それが必要なのか」「導入でどう変わるのか」をまとめ、全員が同じ言葉で語れるようにしましょう。
どこから攻めるのか(最適なチャネル戦略)
アウトバウンド(電話やメール)/インバウンド(コンテンツや広告)/代理店など、最適なチャネルを選びます。
立ち上げ初期の12週間は「チャネル×訴求」の検証期間と位置づけ、効果測定を最優先します。
どう口説くのか(再現性のある商談の組み立て)
商談は感覚ではなく、設計図通りに進めるべきです。1回の商談で「共感→証拠→オファー→次アクション」の流れを作ることが理想です。
資料やデモ台本、よくある質問(FAQ)などは共通フォーマットで整備し、誰でも同じレベルで商談できる状態を作ります。
どう評価・改善するか(KPIと学習)
「接点→商談化→提案→受注」の各ステップに指標を置き、失注理由を詳細に記録します。数値だけでなく“なぜダメだったか”を残すことが、改善の鍵です。
3. チームで再現するための「営業プレイブック」と資料整備
戦略があっても、現場で再現できなければ意味がありません。「担当者の異動で成果が落ちた」とならないよう、属人化を防ぐ仕組みを構築します。
最小限の「営業プレイブック」整備
営業活動の「型」をマニュアル化します。
・冒頭30秒トーク
・デモの流れ
・競合への切り返しトーク集
・失注理由ごとの対応策
資料の共通化と更新ルール
最新の情報が常に共有される環境を整えます。1枚資料、デモスクリプト、FAQ、事例ノートなどを共通化し、月1回は更新するルールを徹底します。
30日オンボーディングの仕組み化
新メンバーでも成果が出せるように、1ヶ月で「基礎知識の習得→実践練習→一人での再現」の流れを仕組み化します。
4. 営業活動の見える化と改善サイクルの回し方
営業立ち上げは、戦略実行後の改善サイクルを回すことが最重要です。
見るべきコア指標
・発見ミーティング率(ターゲット企業との最初の接点を持てた確率)
・提案到達率
・受注率
・パイプラインの充足度(目標達成に必要な案件数が十分にあるか)
週次改善ループ
週に一度、必ず行うべき会議とアクションです。
・失注理由を5分類で集計(予算、決裁、競合、タイミング、適合)
・毎週1つ、最も課題となっている改善ポイントを決める
・翌週、資料やトークに反映し、全員で実行
月次の判断
月次では、より大きな視点で「伸ばす/直す/やめる」を明確にします。
・伸ばす: 最も効果が出ているチャネルや訴求に予算を集中する。
・直す: 提案到達率は高いが受注率が低い場合、価格やオファーを見直す。
・やめる: 3ヶ月検証しても効果が出ないチャネルや訴求は撤退基準を整理する。
まとめ
営業は根性論ではなく、戦略と仕組みで勝つ時代です。
「誰に・何を・どう売るか」を戦略的に整理する
チームで再現できるプレイブックと資料を用意する
週次・月次で改善サイクルを回し続ける
この3つを押さえるだけで、新規事業の営業は“勘に頼らない、強いチーム”へと進化します。まずは、できる範囲で「型づくり」から始めてみましょう。